半分の心臓
みんなそうなのか?
たぶん家だけだろう。
 
「お前、どうすんの?」
 
と言うボクと目が合った父の発言に
 
「お願いですから家を追い出さないで。第二希望の高校に行かせてください」
 
と頼み込む現代っ子。
 
第二希望・・・。

なんて贅沢な響きだろう。

2校しか受けてないのに。

 
他に行く当てもないという理由から
苦労を知らない現代人は
当たり前のように、
唯一やってきた合格通知にすがりつくしかない。
 
これが幸せなことか
どうかは分からないが
最初に滑り止め通知を手にした時の乱雑さはどこへやら。
 
捨てる紙あれば拾う紙ありとはこのことで、

とても自然な行為。
 
両親はそのことを
承諾するものの代わりに
勝手に人生の
第一志望に落ちたのだと
近所や親戚中に価値観を押し付けられた苦しみ。
 
どう言えばボクの主張は通ったのだろう。
 
ボクが本当に切望した進路は好きな子の隣の座席。
< 10 / 40 >

この作品をシェア

pagetop