大江戸妖怪物語
「本当にこれじゃ、見つかっちゃうよ・・・」
すると村人の一人が神社の中を覗き込んだ。僕は瞬きするのも忘れ、必死に隠れた。バレたか・・・?
必死に隠れている時、目の前に巨大な埃が飛んできた。別に埃アレルギーやハウスダストアレルギーというわけではないのだが、それが異常にむず痒かったため、僕は鼻水が出そうになる。そして・・・
「は・・・ハックシュン!!」
巨大なくしゃみが僕の口から洩れる。
「ば、馬鹿・・・!」
「何やってんすか・・・!神門さん・・・!!」
二人が声を小さくしながら、僕に怒りの表情を見せている。
「ご、ごめん・・・!つい・・・・・・」
覗き込んでいた村人は一瞬笑ったかと思うと神社の戸に体当たりしてきた。ドン!ドン!とどうやら扉をぶち破ろうとしているらしい。
それに気づいたほかの村人も一緒になって戸を壊そうとしていた。
「確実にバレたな・・・」
雪華は立ち上がり、戸に向かって何かを唱え始めた。
「あまり、ここで妖術を使いたくなかったが・・・洗脳されているなら仕方ない」
雪華は扉に向かって手を伸ばした。
「菱氷壁!!!」
と、叫んだと同時に扉が壊された。僕は恐怖のあまり目をつぶったが、村人が入ってくる気配はない。
目を開けると、扉があった所には、巨大な四角い氷が通せんぼをしていた。
「これで戸からは入ってこれないが・・・しかし、知能はあるようだな」
どうやら正面から入るのではなく、壁を壊しにかかっているようだ。両側の壁が、人間の体当たりによって軋む。
「四方を氷で囲めればいいのだが・・・。私は大丈夫だが、人間にはキツイ・・・」
そうこうしている間にも、徐々に板が緩くなっていく。
「ちょ!お二人さん!見てくださいって!!」
黄梅は喜んだ声で叫んだ。
「床板を捲ったらこんなものが!!」
そこにはポッカリと空いた穴だった。
「きっと抜け道っすよ!!」
「どこに繋がってるかわかるの?」
「わかんねーっす!どっかしらには繋がってるはず!」
「仮定形じゃねーかぁぁぁ!!」
「いえ、これはどこかに繋がってるわ・・・。風が通ってる」
穴を覗き込む。少し前髪が揺れ、僕の顔を擽った。
「本当に・・・これに賭ける?」
「これしかないだろう」
穴を覗き込むと真っ暗で、どこまで落ちるかもわからない。
「神門、お前は先に行け」
「えぇッ?!雪華が行ってよ!」
僕は少し怖かった。