卒業〜幸せの選択〜

究極の二者択一

「ふぅん‥‥」

「ちょっとぉっ!!人が真剣に悩んでるのに！」

「だってさ、お前贅沢だぞ？」

「……」

「あんなイケメン二人もひっかけといて。究極の二者択一だな〜！」

「‥‥人の気も知らないで。」


唯子がそう呟いた瞬間、碧の顔が歪んだ…


「お前もだろ。」

「は？」

「俺の事知ってんのかよ？俺にだって悩みぐらいあるっつーの!!」


そう言って碧は教室を出て行った。


「碧っ!!?」


唯子の呼びかけに振り向くこともなく。




「‥‥人をノー天気みたいに言うなよなっ!!」


イライラしながら歩いている碧を呼び止める二つの人影


「どったの？」

「‥‥？なんかあった？」

「あ、先輩。」


振り返るとそこには那智と冬弥が立っていた。

唯子と仲のよい碧は必然的にこの二人の先輩とも仲良くなっていた。


「めずらしんじゃない？碧がイライラしてるなんて。」


そう言いながら碧の顔をのぞき込み目をじっと見つめる冬弥。


「ちょっ…先輩、その美しい顔を近づけないで下さい!!」


イライラを誤魔化すように碧がわざとらしく照れてみせた。