愛してる?...たぶん。
「あのさ、」



「ん?」



「もえ先生は俺なんかより全然大人で、いろんな経験してきて、傷付くことに過敏になってんのかもしんないけどさ、だからこそ忘れちゃ駄目っていうか、もっと肩の力抜いて、簡単に考えなきゃ駄目だと思うんだよねー」



「ん」



さっきまでのお怒りモードは何処へやら。目の前にはいつものように穏やかに笑う和久井。



「ほんとに分かってんの?先生?」



「分かってるって!」



「ほんとに?」



「しつこいなー」



「だって俺、ガードだもん」



「それって、関係…」



「ないよ」



「あー…」



近かった距離もいつの間にか元通り。それだけで一気に緊張が解けてしまうなんて、本当に僕は単純だな、と思った。

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