桜花~君が為に~

第二十八話


慶応三年
11月18日

悪夢のような日が始まった




その日は
朝からあわただしかった
幹部隊士は一つの部屋に集められ
その場には
なぜか、御陵衛士に行ったはずの斎藤の姿までもあった

「な、何で斎藤さんが…」

誰もが思っただろう疑問を悠輝が口にすると
土方は

「斎藤には伊東の行動を見張るために間者としてもぐりこんでもらっていた」

不機嫌そうにそういいはなる

もぐりこんでもらっていた

過去形の言葉
つまりはもう間者の役目は必要なくなったということで
その言葉が意味するのは…

「つぶすんですね。御陵衛士を」

こほっと小さな咳をして
沖田は土方へとほぼ肯定した言い方で言葉を投げかける
そんな沖田の言葉に
土方は黙って頷いた

その言葉にいち早く反応したのは

「ちょ、待てよ土方さん!!平助はどうすんだ!?」

誰よりも藤堂と仲がよかった
永倉だった
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