桜花~君が為に~

第十八話


「よし。これでおわ…りっ」

書類に最後の言葉を書きいれ
悠輝は筆を置いた。
ぐっと、伸びをする

あの後、悠輝は部屋へと戻って
土方から奪った仕事に打ち込んだ。

「結局朝までかかっちゃったか」

でも、不思議と眠たくはない
寧ろすがすがしい気分だ。

立ち上がって部屋にさす光を塞いでいた
襖をゆっくりあける。
朝の光が部屋へと差し込んだ。
眩しさに目を細める。

少し明るさになれてから
悠輝は大きく息を吸い込んだ。
朝の新鮮な空気が体の中に入ってくる。

「おや、おはようございます」
「あ……」

よく知った声が耳に届く
声のした方へ視線を向けると
其処には……

「おはようございます。山南さん」

いつもの優しい笑顔をした
新撰組総長の山南の姿があった。

「今日もお早いんですね」
「えぇ、自然と目が覚めてしまうんですよ
あぁ…そういえば悠輝」
「はい?」

名前を呼びかけられ
首をかしげながらその声にこたえた。

「土方君から伝言です。
どうせ寝てないだろうから、今日は非番だそうですよ」
「な…」
「それでは、私は…
もうすぐ朝餉の時間ですから、来てくださいね」
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