君に恋する本の虫
私はお風呂の中で今日1日を振り返っていた。
『今日はドキドキしっぱなしだった・・。』
『淳の背中にドキドキして』
『見知らぬ彼女にドキドキして』
『それから・・・』
『・・「また、会える。」って言ったよね。会える・・かな。』
『・・また、会いたい。』
夜はゆっくりふけていく。
私はその日夢を見た。
目の前は明るく輝く光。
その中に淳が立ってにこやかな表情で手を伸ばしている。
後ろは暗く薄気味悪い闇。
微かに人が見える。でも私は確信を持ってその人が誰なのかわかっていた。
その人は真っ白で美しい手をこちらに伸ばし私を誘惑する。
私はその境目に立ち尽くしていた・・・。
そして、わずかに光の方へ引っ張られるのだ・・。
目を覚ますと朝日が昇る前だった。外は薄暗く。時計は5時少し前。
手にはあの髪ゴムが握られている・・・。