空耳此方-ソラミミコナタ-

克己は細い目の端にシワを寄せてにっこりと笑った。

「その通り。だからコレは僕に向けられたメッセージ。僕はずっと…これを探していたんだ。もう一度お礼を言わせてくれるかい?本当にありがとう」

克己は深く頭を垂れる。
純粋な感謝の念を述べられ、三人は慌てて克己の頭を戻そうとする。


「い、いやいや!そんな」

「ああ……だって…なぁ?」


あ、しくった。
言った途端、炯斗はそう思った。

なんだか気まずそうにする三人に克己は怪訝そうに目線をあげた。

ここまで来てはもう嘘を突き通せない。


「どうしたんだ? 何か…?」

「い、いや…それが…ここを見つけたのは俺たちじゃないんだ」

「そう、か…。でもそれがどうしたと言うんだい? 結局教えてくれたのは君たちじゃないか」


炯斗はしどろもどろになる。あまり目線を克己とはあわせたくない。
もう、どうにでもなれ!
決心して口を開く。

「でも、それがな──」

言おうとした、その時だった。


「そこで何をしている!!」

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