空耳此方-ソラミミコナタ-

相手は会話(?)に出たばかりの宇佐目。
男はニヤリとして宇佐目が隠れているところを見、目の前の彼女を見た。

「あー悪い。何か失敗したっぽい」

言ったとたん、ドドド…と音が、携帯からも近くからも。

見れば宇佐目が猪の如く目を光らせ突進してくる。
男の顔から血の気が引いた。


「うわ、ちょっ、お前待てッ!」

「ブギー!!」


まさに問答無用
宇佐目は男の手をがっちり掴み、恐ろしいスピードで彼を連れていく。

男が振り返ると心配そうに見つめる彼女と目が合う。

絶対行くッ!と手を振るが彼女がわかってくれたかはわからない。

そのまま男は引きずられて言った。

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