何度忘れようとしても
「あ、おはようございます。寒いですね、ほっぺが冷たくなっちゃった」

私は笑顔を作り、上げられるだけの最大限のテンションで挨拶をした。
ここからは、憂鬱な気持ちなど引きずってられないぞと、無理矢理気合いを入れる。

「ホントだよね、きゅうに寒くなっちゃったよね」

石川さんとエレベーターに乗り込んだ。

「朝からうちの子がお腹痛いとか言い出しちゃってさ、冷えたみたいで。大変だったよ」

「夜、寒かったですもんね」

石川さんには小2の男の子が1人居る。
可愛くて仕方ないみたいでよく話題に出てきた。

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