何度忘れようとしても
丁寧にメイクや髪を直していたら、時間が来て孝昭から携帯にワン切りがあった。
それは昔から変わらない家の前に着いた時の合図だった。

外に出ると、家の前の道を孝昭の車のライトが照らしていた。
助手席のドアを開けると、タバコを片手に孝昭がこっちを見た。

「よお」

「久しぶりだね」

彼女もいつもここに乗っているのかと思うと助手席に乗る瞬間、緊張してしまった。

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