ノンシュガー・ノンビター【VD中編】


しかしそんなセリフも平坂相手だとぐっと飲み込むしかない。

微妙な顔をした俺を見て、平坂はまたも不思議そうに首を傾げるだけだった。

…うん、こいつにあげた女の子たち…ドンマイ、だな。

きっと…これ貰って、としか言わなかったんだろうけど…。

なんとも言えない気持ちになったところで担任が入ってきたため、俺も意識を教壇に向けた。

視界の端にいる夏村は、傍目から見てわかるほど挙動不審だった。

……あいつ、気持ちはわかるけど、もうちょっと落ち着けよな…。

なんだかこっちが恥ずかしくなってきてしまい、思わず頬杖を付いて視線を逸らした。

…って、これじゃ俺もあいつと一緒じぇねぇか…。


なんだかもやもやした気分を引き摺りながら、毎日同じことを聞いているような気がする担任の話をさらりと聞き流した。






「あ、咲々乃、これ」


無駄に長いHRが終わったところで平坂が思い出したように声を上げた。
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