ノンシュガー・ノンビター【VD中編】


白波は髪の毛をさらりと撫でながら、少し照れくさそうに歯を見せて笑った。


「去年は色々お世話になりましたってことで受け取ってね」

「っあ、ああ、ありがと、な!」


左手を持ち上げ、たどたどしくもどうにかお礼を言った。

バカみたいに恥ずかしい。

とにかく体温が上がっていくのを感じて、免疫のない自分に苦笑する。


「ううん。咲々乃くんにはよく係の仕事手伝ってもらったし、こちらこそありがとう」


あどけない笑みに心臓がずきゅんと撃たれた。

…あーくそ……可愛いな…。

自分らしくもない、歯の浮くようなセリフがぽんぽん胸の内に飛び出してくる。

それを気持ち悪いと罵る俺は、今ここにいなかった。

俺が係の仕事を積極的に手伝ったのは、白波だから、なんだけど。

って、そんなこと気付くはずねぇよなー…。
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