ノンシュガー・ノンビター【VD中編】


さ、咲々乃ー!!

あんた、またあたしのこと置いていったわねー!!!!


「咲々乃がいないといや?」


首を傾げてそんな可愛いことを言われたら全力で首を横に振るしかない。

ていうか似合いすぎだから!


「そそそそそそんなんじゃないけどっ…!!」

「そっか、良かったー。じゃあ今日からおれと一緒に帰ろうね?」

「もちろん!……って、え、はっ?」

「夏村さんのこともっと知りたいなーって。まずはお友達からってやつ、かなー?」

「えええええっ…!?」

「いや?」

「そ、そういう意味じゃ…!!!」

「…夏村さんの前だったら自然体でいさせてくれるみたいだし、ね?」


いつもの甘い仮面を外して、にやりと少し意地悪そうな顔で平坂は笑みを深くした。

どきんっと大袈裟に心臓が跳ね上がる。

………心臓がいくつあっても足りないでしょ、こんなの。
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