憂鬱なる王子に愛を捧ぐ


それから、早くも2週間が経過していた。

あたしは携帯の画面を確認して、溜息をひとつ零す。
着信履歴なし。新着メールなし。
そっと部屋のカーテンから外を覗くも、千秋の部屋に電気はついていなかった。彼は不在。

「……避けられてる、なあ」

大学の講義でも、委員会でも、千秋はいっそ清清しいくらいにあたしを避ける。むしろ、接触から逃げている。

一学年で8千人弱いるマンモス校というのもあって、人と人との関係は意識次第でこうも希薄になってしまうのだ。
ずっと一緒だったから、そんな当たり前のことにも気づかなかった。
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