大人的恋愛事情
「私なら断然藤井さんですけど、村岡さんも捨てがたいですね」
そんな呑気な声を出す美貴ちゃんに、請求書を渡す。
「東製薬工業の事務所に、この請求書FAXして」
「でも、村岡さんって元彼でしょ? やっぱそっちの方が楽かも」
「山田さん宛ね」
「てか、ホント繭さんって、どう考えてもいい男に当たり過ぎてますよ」
「先方急いでるから」
どこまでも呑気な美貴ちゃんを少し睨むと、諦めて請求書を持ち立ち上がった。
はあ……。
いよいよ圭とのことまで、社内メールで出回るなんて。
これで本当に平穏な日常はどこかへ行ってしまった。