大人的恋愛事情
 
それなら、いくら一度は私を捨てたとしても、こうして戻って来た圭の方が……。



それさえ許せば、間違いなく待っているだろう結婚生活。



そもそも私だって、藤井祥悟とのことがあるんだし。



トラウマを差し引くとすると、ある意味圭だけが他の人間と関係を持ったわけでもなくなり。



そう考えると、どうしても許せないわけでもなく思えてきて。



お互い様だったりすると、もう今さら圭だけを責める気にもならない。



明確な最短距離か曖昧な最長距離か……。



「どうして今頃……」



思わず溜息混じりにそう言うと、向かいに座る圭が持っていたパンを皿に置いた。



「繭」
< 404 / 630 >

この作品をシェア

pagetop