大人的恋愛事情
「ふーん、逆らいきれないんだ」
「そうよ」
「逆らいきれないって事は、同意だったわけ?」
「……」
「それで後ろめたいわけね」
「……」
「私達に奢るほど、後ろめたいってことは、よほどよかったんだ」
そんなことをサラッと言われて、思わず背けていた顔を詩織に向けると、手堅い余裕の同僚が呆れたように私を見ていて。
「なにっ! 悪い? そうよ、よかったのよっ!」
「ちょっと、繭さん声が大き……」
「だったらどうなわけ? しょうがないでしょ? 圭とは何年もそういうことしてきたわけだし……」
「だったら、いいんじゃないの?」
そんなことを軽く言いながら、今度は詩織がお茶をすすりだす。