大人的恋愛事情
 
何故かそんな嫌味の挑発に、さらにわけのわからない挑発で返してしまった。



「正面でいいわよっ」



隣の美貴ちゃんがファイルを綴っている資料から顔を上げて、こちらを見るのが視界の端で見えた。



一瞬の沈黙の後、フッと呆れたように笑う藤井祥悟の低い声が、受話器から耳に響いた。



『それがあいつの余裕なのか?』



「え?」



『待ってる』



聞き返す私を無視して、それだけ言うと電話は切られた。



それがあいつの余裕とは?



あいつとは?



この場合どう考えてもあいつとは圭のことで。



それが圭の余裕ってこと?
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