大人的恋愛事情
 
どう考えてもランチに二千円も出すなんて馬鹿げてる気がして、今になって少し悪い気がした。



「奢りじゃなくていい」



「は?」



「なんか悪い気がしてきた」



「なんだよそれ」



呆れたように言われて、ふと隣を見ると握り寿司を口に入れる藤井祥悟と目が合った。



口を開けたことにより、顎上の筋肉が動く様子を見つめる。



綺麗な顔のその筋肉が微かに動くのを見ながら、やっぱりいい男は、自分がいい男だとわかっている気がした。



そんなピンポイントの筋が動く様子を見ながら、色気があるように見えるなんてどう考えてもおかしい。
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