大人的恋愛事情
 
何とか今日中にしなければいけない仕事が片付いた時には、時間は7時を回っていた。



出遅れた俺は、急いで会社を出て、新年会が行われているはずの店に向かう。



そこで思いがけない事に、彼女の隣に座る事になった。



会社近くの居酒屋で偶然空いていた席に俺を呼んだのは、繭から一つ席を空けて座っていた企画部の同僚。



「遅いぞ藤井、ここ空いてるし座れよ」



「悪い……」



「またお前、部長にプレゼン頼まれたんだって?」



「ああ……」



「まあ、お前は負けなしだからな。部長も下手なやつに頼むより、勝算あるお前に頼む方が確実だと思ってんだろ」



「そうか?」



「開発部の部長が泣きついてきたらしいぞ」



「そうなのか?」



「何とかして開発にかける予算を引出したいんだってよ」



「ふーん」
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