大人的恋愛事情
 
「なにがそうなの?」



「いえ、当然藤井さんに祝ってもらうんだろうと思って。私に祝われても嬉しくないですよね」



なぁんて、軽く言う美貴ちゃんに視線を向けた。



「そういうもの?」



「え、なにがですか?」



私の聞いた意味がわからないのか、首を傾げてこちらを見る。



そんな不思議そうな美貴ちゃんに、伝票に視線を戻しながら呟いた。



「知らないと思う」



「はい? なにを」



「誕生日……」



「え、誰が?」



「藤井さん。私の誕生日知らないんじゃないかな」



「えぇっ! 言ってないんですか?」
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