大人的恋愛事情
 
若い子特有の無邪気さで、そんな事を言われて、単純に可愛いと思えた少々酔っている私も、そんな森君に歩み寄る形で小さな声で返す。



「それ誰のこと?」



「例えば部長とか?」



悪戯な声を出し部長を引き合いに出すので笑えてきて、近い距離になった森君を見上げると……。



「繭」



後ろから聞きなれた声で名前を呼ばれ、視線を森君に向けたまま一瞬固まった。



「藤井さん……」



私より先に視線をそちらに向けた森君が、思わずといったように呟く。



どうしてここに?



そう思い振り返ると、家にいると思っていた男がいつものスーツ姿で立っていた。
< 610 / 630 >

この作品をシェア

pagetop