大人的恋愛事情
 
それほど私は動揺していて、そんな自分に我ながら本気で驚いたりした。



まさか、一年も前に終わってる相手に……。



すっかり忘れていると思っていたはずなのに……。



今この瞬間、そうでもなかったのだと思い知らされた気がした。



「悪かったな」



「なによ、別に謝ってもらうようなこと……」



「そうだな……。仕事頑張れよ」



微かに笑って優しく言った圭が、エレベーターの扉を閉めた。



私はその場に立ち尽くし、動揺した気分を落ち着ける為、何度か浅い深呼吸を繰り返していた。
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