crocus

「若葉ちゃん、これー。恭平はね…超絶方向音痴だから指示してあげてくれるかな?」

「へっ?方向…音痴ですか?」

「んふふ、そうなんだよー。ほぅら、恭平の顔真っ赤でしょ?…誘ったのはいいけれど、今の今まで言い出せなかったんだねー?かわいいー」

「んだとこらぁ!?もういっぺん言ってみろ、ああん!?」

「かわいいー。上田・方向音痴・恭平」

「っるせぇ!ミドルネームにすんなっ!」

「読者も分かりやすいと思うよー。『あー、方向音痴の人ね』って」

「俺の印象それだけか!つーかなんの話だっ!」

タブーのような話題に触れたような気がしたので、若葉は慌てて出発を促した。

「恭平さん!急ぎましょ?開店まで時間ないですよー?」

「おぉう…、ほいじゃま!行って来る」

誠吾くんに手を振ると、車はゆっくり発進した。

「えーっと…、まずは…右です」

「え?あー…えとー…、若葉ちゃんそれ地図逆さま、かなー…?」

「……ひえ」

幸先、不安です。
頑張ります。
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