crocus

「ま、決めなきゃいけない当番もいろいろとあるけどさ!とにかくオーナーの気まぐれに振り回される者同士、これからよろしくなっ。若葉!」

前を歩いていた琢磨くんが若葉の方へ振り向いて、ニカッと楽しそうに笑って言ってくれた。

「そゆことで、よろしくぅ!」

「よろしくねっ、若葉ちゃん」

「よろしく」

琢磨くんに続いて、上田さん、上矢さん、桐谷さんの3人も横目に若葉を見ながら歓迎の意を示してくれる。

残る1人の言葉を全員が何気なく沈黙で待つと、橘さんが頭をガシガシと掻く。

「……あー、やだやだ。痒い痒い、なにこの空気」

そう言って足早に帰っていく橘さんの背を少しだけ残念な思いで見つめた。

だけど諦めてはなるものかと、深く息を吸い込んだ後、ガバッと腰を曲げて、頬が熱くなっていくのを感じながら大声で宣言した。

「一生懸命頑張ります!ふつつかものですが、よろしくお願いします!」

その小さくなっていく背中にも届きますようにと願いを込めて。


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