ありときりぎりす
次第に寒くなってきました。

冬がやって来たのです。

ありは蓄えてあった食べ物を、春までもつように少しずつ食べて、狭い巣穴の中でひたすら暖かくなるのを待ちます。

きりぎりすは寒さに震えながら、木枯らしの中で飛び回っていました。

耳元で唸る風の声が、なんとなく面白かったのです。

走っているうちに体も温まり、爽やかな気分になってきました。

やっぱり世界は面白い。

穴蔵にこもってじっとしているありが、ますます不思議に見えてきます。

「もったいないなぁ」

そっとつぶやいて、また走り出しました。
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