恋ってよんでもいいですか?
償いじゃなくて…by隼人
何気なく参加した合コンで俺が高校時代に妹のさくらの為にしてしまった行動が、1人の女の子を深く傷つけていたことに気づかずに何年も過ごしてきたことがわかった。


俺が傷つけた彼女は酔っ払って今にも泣きそうな顔で笑っていた。


彼女は傷つけたのが俺だってことには気づいていない。


あの時俺は、両親の離婚で傷つき荒れていたさくらを俺の親友でさくらとつきあっている春樹と別れるようなことでこれ以上傷つけたくなかった。


でも…さくらの代わりに別の女の子が傷つき、苦しんでいた。


彼女はさくらと揉めた春樹が揺れた相手。


結局、春樹はさくらのことを守ると決めたけれど、さくらは春樹の心の揺れをしっかり感じていたようで、家出から戻ってきてからは片時も春樹の傍を離れなかった。


そんな春樹に代わって、俺が彼女に春樹とのことをなかったことにして欲しいと頼んだ。


彼女の春樹への想いは俺の中で迷惑でしかなかったからそれをそのままぶつけた。不躾で身勝手なことをしたと思う。


高校時代より、儚げに見えたのは、俺が傷つけたせいなのかもしれない。

     
俺に遅すぎる罪悪感が芽生えた。
< 107 / 257 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop