10年目の告白
「いらっしゃいませ~」
「あ、あの・・・・」
「はい?」
「しろためぐみさんですよね?」
「は、はい」
俺は思わず口走った
「やっと会えた・・・あなたとここで会うのをずっと待ってたんです」
戸惑う彼女。そりゃそうだろう。見も知らない男が何を言ってるんだ。
「あなたに会うために15年後からタイムスリップして8年待ったんです。ってこんなこと言っても訳わかんないですよね。一回ゆっくり話がしたいんですが、時間ありませんか?」
暴走してしまった。こんなこと突然言われたら変な奴と思われるに決まってる。
「何を言ってるんですか?仕事中なんですけど」
「ごめん。意味不明なこと言って。でもどうしてもあなたと話をしなくちゃなんないんだ」
「私、結婚してますから。それに仕事中にこんなとこに来られても迷惑なのでやめてください」
「うん、結婚してるのも知ってる。でもその人とは事情があって別れるんだよ」
「何を失礼なこと言うんですか!もう子供もいるんですよ」と彼女はおなかを押さえた。
「それも知ってる。男の子だよ。でもこの結婚はうまく行かないんだよ」
「あんまり変なこと言うと警察呼びますよ!」
気配を察した他の店員が寄ってきた。
「ごめん。急に変なこと言って。でも事実なんだよ。また来るから」
俺は逃げるように店から離れて、とんでもないことをしてしまったと後悔した。
< 6 / 13 >

この作品をシェア

pagetop