アイ・ドール

 雪とキャロルアンが、首筋と背中を撫でる――気持ち良さそうに時折、眼を閉じるネプ子――。



 理性と感性――そして、心ともそろそろ折り合いをつけなければならない。



 考えない、感じない、蓋をする――今はそう誤魔化すしかない。ライブも迫っている。葵や流花とは、必要最低限の会話しか交わしていない――メンバーだって自分達と、葵と流花の対応に微妙な違いがある事はわかっている筈。葵と流花による「何らか」の要因で、私が沈んでいる事も恐らくは――――。



 あの手この手で、私を励まそうとするヴィーラヴ――彼女達の健気な姿に私も応えなければならない。無垢なネプ子を撫でていると、想いは強まってゆく――。


 ライブの後に、改めて葵と流花と話し合い、覆った雲を取り払おう――それまでは、もう皆にいらぬ気遣いをさせたくはない――。




「本当にもふもふして、ネプ子は可愛いわね――」


 とびきりの「創り笑顔」と声色で、雪とキャロルアン、そして離れている他のメンバーにも聞こえる様に言い、ネプ子の頭を、「ありがとう、ありがとう」と撫で続けた――。




 今は――――これでいい――。

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