危険なスキ ~不良くんのお気に入り~
強く自覚する想い


 ビルを出て街に入っても、西園寺くんはその手を離してくれなかった。


物も言わず、ただ前を進む背中。

怒ってるんだ。

私を巻き込まない為に遠ざけてくれていたのに、男装までしてついて来てしまって。


相手側に捕まったりなんかして。



「……ごめんなさい」

涙が、こぼれた。




その声が聞こえたのか、不意に西園寺くんが足を止めた。

「西園寺くん……?」

こっちを振り向く。

しばらく私を見て、ため息をついた彼は近くにあった路地裏に私を引き込んだ。



路地裏に入った途端、西園寺くんは私を強く抱きしめた。

「さ、西園寺く……」

「―――寺島」

苦しそうな声で、彼は私を呼んだ。



 
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