危険なスキ ~不良くんのお気に入り~


私が振り向いたと同時に目が合って、西園寺くんが確信の笑みを浮かべる。


「やっぱ寺島じゃねーか。どこ行く気だよ」

「ど、どこって……。帰る所だけど」

「今入って来たばっかなのに?」

「それは……あ、用事を思い出してっ」

「お前、ウソ吐くの下手だな」

「うう……」

私、とっさのアドリブは苦手なんだよね。
決まったセリフは大丈夫なんだけど。


「ま、いいや。俺も丁度ここ出るとこだから」

そう言うと、半ば強引に私の手を引きながら店を出た。



 
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