スピン☆オフ
「どうした?」


少し寂しそうに笑いながら振り向いた。


「お礼…お礼考えたの。」


「何がいい?」


「…偽造の身分証が欲しいの…。」


今のあたしに一番必要な物。


なにかあった時に必要だし、携帯を持つにも必要だから。


「だったら尚吾に聞いてごらん?アイツなら、そういうの得意な奴知ってるから。今のアイツなら『お座り!!』って言っとけば、大人しくなるから。」


満面の笑顔で答えると、大きく手を振って部屋から出て行った。


尚吾に会いに行かなきゃなの?


どんな顔をして会えばいいの?


恥ずかしいし、顔なんか合わせたくない。


だけど今は逃げてる場合じゃない。


考えると、どうしようもなくなって…。


着替えてメイクしてドアノブに手をかけて


「よっしっ!!」


気合を入れた。


だけど、なかなかドアを開ける勇気が出ない。


一時停止したように体が動かない。


「やっぱり、気まずいよ~。」


ボソボソと独り言を言いながら、かれこれ20分もドアノブに手をかけたまま。


今日は辞めようかな~?


でも、早く携帯欲しいし…。


「あぁ~!!もう!!!」


勢い良くドアを開けた。


そして、何も考えないように走ってホテルを出て行った。










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