憑き人

その後の会話や食事の味は全くと言って良いほど覚えていません。

また帰りに車に乗るのが嫌で食事の後買い物がしたいと理由を付けて帰ろうとしましたが

「せっかくだから買い物は別の日にして送ってもらおう。」

と(余計なことを)言う彼にも逆らえず。また、あの車に乗らなければなりません。

私が車に乗ろうとすると助手席の後部座席の後ろの隙間に移動する灰色の女性。

きっと他の人が助手席の後部座席に乗る時も席を譲る様に移動しているのかもしれません。

人が乗っていない時は助手席の後部座席が定位置のようでした。


そして、彼の父との別れ際

「運転、気を付けて下さいね」

と、不自然に思われない様に言うのが精一杯でした。

彼の父は

「大丈夫や。ありがとなあ。また行こうな。」

と笑顔で車を発進させました。


彼女を乗せたまま・・・




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