夫婦ごっこ
そんな気分も部屋の前で緊張感に変わった。

ダメだって言われるかな……
相談しなかったし……私は少し不安だった。


静かにドアを開けるとまた声がして私は足を止めた。

「じゃあ……じゃあ別れろよ。
そんなに辛いなら別れればいいだろう?………泣くなよ。
おまえの泣き声は……俺には一番辛いんだって……。
………その勇気はおまえにあるのか?
俺を混乱させないでくれよ
………おまえを愛してる……。」


頭を殴られたような ガーーーン って音が鳴った。


勢いよく飛び出してきた恒くんが私を見て
驚いたように部屋に戻って行った。


  なんなの……何告白してんの……?
  もう私……解雇されんの?

頭が混乱していた。


それから恒くんとは話さなかった。
恒くんが何か言いかけたけど 私がとても
そんな顔をしていないから…さすがに言葉が見つからなかったのか


次の日は日曜だけど朝からどこかに行ってしまった。


  きっと女のとこだ。


結局 その愛してる女は恒くんの近くにいるんだろうか


  愛してる……

私が……恒くんを…愛してる……。
涙が流れて……初めてだった……。愛した人を
想って流れる涙を知ったのは……。
< 103 / 346 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop