夫婦ごっこ
恒くんの部屋はかなり散らかってた。

「ひどいね……。」

「まさか客が来る予定はなかった。」

恒くんは慌てて新聞をベットに
投げた。

スーツだけはしっかりと
かけてある。

「俺の勝負服だからな。」

「スーツ見ると社会人なんだって
そんな気がするね。」

「そうだぞ。
俺は戦ってんだぞ。
明日も会議だし……できれば
ちょっと仕事したいんだけど。」


「あ…いいよしてして。私は
テレビ見てるし……泊まっていい?」

パソコンを開いた恒くんの
動きが止まった。

「いいけど親御さんに連絡するぞ。
心配してるだろ。」

「いつものことだからいいの。
絶対電話しなくていいから。」

「わかったよ。
じゃ…楽にしといて。」

パソコンのキーボードを打つ音が
部屋に響いてる。
けっこう心地よい……。


テレビの音よりその音に
反応している。

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