夫婦ごっこ
素直になって
またビオンに助けてもらった。

「俺…行くけど大丈夫か?」

「うん。本当にありがとう。
いつもいつも助けてくれてありがとう。」

「おまえは俺の大事なファン一号だからな。」

「うん。このお礼はたくさん応援してお返しする。」

「あはは…じゃあな。」


黒塗りの車が迎えに来て ビオンが乗りこんだ。


  がんばれ びおん


私はそう言いながら車が見えなくなるまで
手を振り続けた。


  ありがと びおん



  大好きだよ 大切な人


スーパーでお弁当を買った。
携帯にはまた あのそっけないメール


恒くんの仕事が忙しいのはいいことだけど
もうずいぶんちゃんとした話をしていなかった。


早く帰ってきても疲れて寝てしまって
結局 何も進展しないままだった。


そんな毎日が季節をまたぎ始めていた。
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