夫婦ごっこ
恒くんSide
離婚届を見て 俺は自分をおさえきれなくなっていた。

とうとう恐れていた事態がやってきた。
頭を冷やすために 返却期間のDVDを返しに
車に乗って店についた。

混乱している。


覚悟していたことだった。

あの日…紅波が若い男と抱き合ってる姿を見た時
何とも言えない感情が俺をのみこんだ。


紅波が恋をしている。

もしそれが本当なら自分のポジションは
最初の契約通り身を引くだけ。
さんざん 立ちきれない過去で 紅波には
迷惑をかけてきたけど


紅波はいつも冷静に俺を見ていた。


偽善者


そう呼ばれた時 俺は何とも言えない気持ちになって
あれからずっと考えてきたんだ。


千鶴に幸せになってほしい

そう思いながらもどこかで 俺を捨てて
さえない前と一緒になった千鶴に対しての
執着心が……千鶴への想いを 愛だと勘違いしたのかもしれない。


自分を捨てて 前を選んだ千鶴に
納得がいかなかったのかもしれない。


前を見てると腹が立った。
仕事のできない元気だけが取り柄の体育会系バカ


プライドを傷つけられていたんだ。
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