夫婦ごっこ
夫婦
「一度ちゃんとけじめよう。」

恒くんが離婚届にサインをして
私は緊張して自分の欄を記入した。


「これで俺たちの夫婦ごっこは終わり…。
いいね?」


お互いの印鑑を捺印して 恒くんはそれを
思いっきり破り捨てた。


「では 次にこれを・・・・・・。」

婚姻届にまたお互いの名前を記入して捺印した。


「ここから俺たち夫婦になるんだ。」

日付はあの想いをぶつけあったあの日……。


「よろしくお願いします。」

恒くんが頭を深く下げた。

「こちらこそ よろしくお願いします。」

私も頭を下げた。

目があって抱きしめ合った。

「喧嘩しても…次の朝は笑っていたいな。」

「うん。恒くんが夜魔法かけてくれたら
うちはいつでも可愛い猫になるよ。」

「こら~~そそるなよ~~~。
もう……必死なんだからな。」


私のお腹はずい分大きくなった。


「もうすぐだな。
俺たちの愛のキューピットさま……。」

恒くんの目尻が下がる。

「つわりひどくて大変だったけど……
なんとか安定期までこられてよかった。」

もうすぐ 私たち夫婦は 親になる。
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