夫婦ごっこ
「おはようございます。」

ゴミ出しをして戻ってくる千鶴さんに会った。


「あ ごめんなさいね。ともちんが図々しいこと
お願いして……大浦くん怒ってなかった?」

「いえ。大丈夫ですよ。
おとうさん大変ですね。」

千鶴さんの顔が曇った。

「ガンなの。もう長くないみたいで…。
私一人娘でね 父がすごく可愛がってくれたの。
最後を絶対看取ってあげたくて……
ともちん…またやらかしたみたいで……荷物もあるもんで
大浦くんにお願いしたんだけど…。」

「いいですよ。全然。
それに大学時代の友達なんでしょ?
そんな気がねしなくていいですよ。」

「紅さんが気を悪くしないか心配だったの。
いくら友達だとはいえあまりいい気持ちしないでしょ?」

「そんなことなら全然大丈夫ですよ。」


思いっきりニッコリ微笑んだ。


そうだよね普通 夫が他の女の人と
事情があれ一緒に二人っきりで行動するって
めっちゃ心配かも……。


でもうちはそういう仲ではないから。
そんなヤキモチなんかやいたら
契約違反だろうし……やく必要もないし……


土曜日の朝早く 恒くんと千鶴さんは
函館に旅立って行った。
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