夫婦ごっこ
「あの人は仕事より家族の人だから……
なんでも家族を優先しちゃうの。最初は嬉しかったけど
最近は怖くなっちゃう。仕事ほっぽりだしちゃうから
私はしっかりしないとって…うふふ
のろけてるつもりじゃないんだけどね…。」


千鶴さんの笑顔を見てると嫉妬していた自分が
バカみたいに思えてきた。


「千鶴さんってうちの夫と長い付き合いなんですよね?」

一瞬目を丸くした千鶴さんは ゆっくりうなずいた。

「前から聞きたかったんだけど…夫の恋人って知ってますか?」

少し間があって 千鶴さんが話そうとしたら

「こんにちわ。」

社宅にいる上司の奥さんがやってきた。

「こんにちわ。いつも主人がお世話になってます。」

姿勢をただした。
千鶴さんも頭を下げる。


しばらく上司の奥さんの世間話に付き合わされてる間に
千鶴さんは軽く笑顔で会釈して自転車に乗って
出かけてしまった。


  聞きそびれた……。

内心残念な私。

「もったいないわよね。」上司の奥さん


「え?」

私は何がもったいないかと奥さんを見た。
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