まだ、君を愛してる.doc
そこから愛花の表情がやさしくなった気がした。だんだんと日が傾いてきたから、そのせいなのだろうか。でも、理由がなんであれ、それを見たら、僕の気持ちは、絡まり続けた僕の気持ちは、容易くほぐれていった。
都庁の中でエレベーターに乗る。相当高いはずだが、あっという間に展望台へと僕たちを連れて行ってくれる。何度乗っても、この勢いに耳がおかしくなるが、おかしくならない方法などあるのだろうか。そんな話の答えが出る前に、天空の城にいるかのような景色が広がっていた。
白い景色。周りを遮るものが何もないから、太陽の光が広がって、全てを白く染めている。眼下に目を移して、やっと白以外の色が姿を表す。赤だったり黄色だったり様々だけれど、やはり白が強く、とても強く存在していて、それに心奪われる。が、それはわずかな時間だった。
熟したオレンジのような色へと、変わっていき、すべてをオレンジに染めた。眼下ももちろんオレンジだ。圧倒的じゃないか。
「きれい。」
無意識の愛花の言葉がうれしかった。が、それを感じながら、僕の頭の中を何かが通り過ぎた。
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