まだ、君を愛してる.doc
「ちょっと落ち着けよ。本当にこんなのはじめて見たんだって。」
「聞いていい?じゃ、私の鞄の中にこんなのが入っていたら、許せる?」
ここで彼女のおかしな発言に気がついた。
「鞄?鞄って、これが俺の鞄に入っていたと?」
「そうだよ。」
あり得ない。その一言に尽きる。例え夫婦となっていても、人の鞄を勝手に開けるなんて、あってはならないはずだ。それを平然と行い、あまつさえキレるなんて理解出来ない。
「鞄を勝手に開けるって、なんなの?」
「なんなのって、そんなの普通でしょ?」
「普通?人の鞄を開けるのが、普通?そんなの普通な訳ないだろ?」
こればかりはどうあっても許せない。そうだろう。勝手に開けて、勝手にキレる、付き合っていられない。そもそも、その行為が僕には気持ち悪くてならない。平然と言ってのけるのもだ。
「少なくとも、うちでは普通だった。お父さんも、お母さんもやってた。」
僕の勢いに、愛花の勢いは弱められた。さっきまでのものが、消えていた。
「普通って。いったい、どんな家だよ。じゃ、何か、携帯見るのもありか?この間、お前がブログやってた時、俺が後ろから覗いたら文句言ったよな?あれはなんなんだよ。」
「それはそれ。これはこれでしょ。」
自分の事は棚に上げるつもりだ。この態度が、さらに僕を怒らせる。そうだろう。自分がされたら文句を言う事、ましてやブログは第三者には公開しているのだ。それに対して僕に文句を言ってきたのに、僕の鞄を覗くのは良しとすると言うのは何事だ。他のやつはどうか知らないが、少なくとも僕は鞄の中身を、世界に公開していたりはしていない。
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