さくらの山に友だちはきえて
はる。ぽかぽか。
女の子は、じいちゃんとばあちゃんにいつもいわれていました。

「1人で山に行ってはいけないよ。こわーいクマがいるからね」


こぐまは、お母さんにいつもいわれていました。
「けして村におりてはいけないよ。こわーいニンゲンがいるからね」


 朝、じいちゃんは炭焼き小屋に出かけました。

ばあちゃんは庭で畑仕事をしています。
女の子は小川のそばの林で、花びらやへびいちごの実をあつめるのに夢中になっていました。

ふいに声をかけられました。
「なにしてるのー?」

「お花あつめてるのー。ほら」

女の子はふりむいて、袋の中を見せます。

袋をのぞきこんだのは、黒くてもこもこしたしらないこでした。

女の子はクマをみたことがなかったので、そのこがクマだとはわかりません。

こぐまはニンゲンをみたことがなかったので、女の子がニンゲンだとはわかりません。
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