ルージュ ~盲目の恋に溺れて~
花音がボソッと耳を覆いたくなるような言葉を口にした。


女か。


そうかもしれない。


他に女ができたのかもしれない。


ただ、それを現実として私は受け入れたくない。


「もう、すでに女がいたんだよ。その時から彼女がいたんだ。もしかすると、その夏休みに結ばれたのかもね。実家に泊まるって言ってどっかに泊まったんでしょ? それって彼女の家じゃない?」


花音が事実確認する。


「うん。そうだと思うよ。今もその彼女の家にいるのかなあ?」


「その可能性高いね。どんな女なんだろう?」


「夏休みに電話かけてきた女だから夏女だ」


「これから、その浮気相手と対決することになると思う。でも、その夏女に負けちゃダメだよ? 薫が本命彼女なんだから」


「うん。わかってる。でも、気弱になるよ」


「自信持って。可愛いんだから」


「ありがとう」


甘いだけが恋愛じゃない。


時には、苦い経験もする。


それが、浮気相手の存在が明らかになった今この時なのかもしれない。


今まで甘い夢を見ていたんだ。


甘美な夢に浸っていた。


でも、夢から現実へと引きずり戻された。














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