ナガレの騎士 ~光の竜と呪いの姫~
対して、ピアスの表情は楽しそうなまま。





「何か、そっちも事情があるみたいだな」




何か探るような視線に、
プルートが動じることはなかった。




「なければ手紙など来ないだろう。君とて一緒さ、そうだろう?」


「あぁ、もちろん」


「・・・読めないね、君は」


「そっちこそ」




くすっと笑ったピアスに、
プルートも笑ってかぶっていたハットを杖で押し上げた。





すると後ろから大きなため息がして。



見れば肩に乗っているティティがだらんと身体を投げ出している。





「ティティ?」


「・・最悪だろ。こいつらと一緒なんて・・・・」





露骨に嫌そうに、プルートを見る。
流し目でシャーロットを見やると彼女も厳しい視線を投げ返している。




「ケンカ売るなよ」
「気に食わないあいつらが悪い」



「おや、ウサギくん。私は嬉しいがね?君のことについて研究できそうで」
「兎じゃねーよ!狐やろーに言われたくない!!」
「心外だねぇ。私だって好きでこのような姿でいるわけではないのだよ?」
「んなことわかってるっつの!」




はぁぁーっと深く息を吐いて露骨に落ち込む彼の頭を、
クロアはぽんぽんと撫でて笑う。




「まーまーティティ。怒鳴ったって状況は変わらないんだし」
「・・寝ぼけて喰うかもな。つーか絶対喰ってやる」
「だから駄目だってば」



ツッコミを入れるも、後ろでまたティティとプルートの言い争い。
彼に口で勝てるとは思わないから、やめておけばいいのに。
ティティも大人げないものだ。





はぁー・・・なんだか先が思いやられるな。







ふううっと息を吐く。
妙な話、自分の予感はよく当るのだから余計嫌な感じだ。






うぬぼれではないが、先が色々と「読めてしまう」分、
彼等と付き合っていかなければならないことだけは分かる。




その結果が良かろうが、悪かろうが。







(・・それさえも、仕組まれていたということなのか)






手紙が意図しているのは、
これが「始まり」なのだということ。




いや、まだきっと何も始まっていないのかもしれないが。



自分の考える「面倒」に巻き込まれるのは間違いない。





「・・・はぁ・・・嫌だな・・・」







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