ナガレの騎士 ~光の竜と呪いの姫~
「ビビとか言わなかったか?」




「へー、さすが!記憶力いいね!」



「・・褒めてる場合じゃないだろうが。きちんと覚えとけ馬鹿者」




「・・しょーがないだろ。多すぎて覚えてられない」





ふぁああ・・とあくびをしながら、んーっと伸び。
ぱちぱち、と顔を叩いて1人はやっと起き上がる。





(ビビね・・・。そういえばそんな「頃」もあった。)






1人は本だらけの部屋を悠々と進んでいく。
進めないほどではない。
単に本が積み上がって塔になっているだけだからだ。




法則性があるのかないのか、
その塔を倒さないように慎重に行くのかと思えば、
慣れた風ですたすたと歩く。







するとその先に白い猫のような生き物が一匹。
ソファの上にくるまって眠っている。



長い耳の先はギザギザとしていて、長い尻尾はときどきぴくっと動く。
額にある石と瞳はサファイアのような深い青色。
猫というには全体的に白く大きめなようだ。






「別に記憶力が悪いわけでもないだろうに。
メモでもしておけばいい」






ふぁああっとあくびをして伸びをする猫。
1人はどうやら洗面所で顔を洗っているようだった。
何かをしているようだが、猫は興味がないらしくその場で目を閉じている。






「んー、こんなだったかな・・・」



何かを吟味しているようだ。
首をひねりながら、納得のいかない表情。



が、外の声がせかすから仕方ない。







・・ま、いっか。どうせ会うのは一度きりなんだし。






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