優しい嘘つき

小さな嫉妬

「やばっ!寝坊したぁ!」

昨日、服を決めるのに時間がかかり、何をするのかというワクワクであまり眠れず、時計を見ると約束の時間まで後15分ほどしかない。

「髪ぼさぼさ…」

急いで髪をセットし、服もばっちり。

「急がなきゃ!」

桜坂公園は比較的あたしの家に近かったので何とかぎりぎりで着いた。

そこには、制服とはまた違う新鮮な誠の姿が見えた。

通りすがりの女の子達が熱い目線を送っている。

(い、行きづらい…)


行こうか戸惑っていると、こっちに気づいた誠が手を振ってきた。

「唯衣~!」

あたしも周りからの痛い視線を受けながら手を振り返し、誠の元に向かった。

「遅くなってごめんね。待った?」

「全然。じゃあ行こっか。」

「うん!ってどこに?」

「まぁいいからついてきて。」


誠についていくと、そこは女の子がたくさんいる雑貨屋だった。

「誠、ここに来たかったの?」

「あぁ。1人じゃ来れなくて。」

と、照れ臭そうに笑った。

「誰かにプレゼントでもするの?」

「あぁ。俺の妹がもうすぐ誕生日なんだけど、何がいいのかさっぱり分かんなくて。だから女の唯衣にアドバイス貰おうと思ったんだよ。」

「そういうことかぁ。好きな人にでもあげるのかと思ったよ~。」

「はは、んなわけねぇだろ。とにかく入ろうぜ!」

「うん!」

雑貨屋に入ると可愛いものがたくさんあって、あたしはその雑貨たちに目を奪われた。

「可愛い…」

思わず呟いていた。

「それ、欲しいの?」

あたしの肩にあごを乗せ、いきなり耳元で誠が話しかけてきた。

そのせいで肩が上がってしまう。

「ーーっ!」

「あれ、唯衣顔赤いよ~?大丈夫?」

なんて言って悪びれる様子もない誠。

「ちょ、ちょっとビックリしただけよ!」

「ふ~ん。」

と言いながら何かを含んだような笑顔を向けてきた。

(気にしない、気にしない!)

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