ダメ男依存症候群 ~俺は彼女に中毒症状~

「どうしたんですか?」

 なるちゃんが俺達のそばにやってきた。


「あ、鳴海さん! 鳴海さんももう少し入れないかな?」

 店長はなるちゃんの方にもそう言った。


「え? 何でですか? 何かあったんですか?」


「島崎君がインフルエンザで来れなくなっちゃって……それで大川君に連絡してみたら、今、別のバイトが入ってるから、それが終わったらすぐ来てくれるって言ってくれたんだ。でもそれまでまだ時間かかるみたいだし、今日予想以上にお客様が入ってるから、ちょっともたなそうだから……せめて大川君が来るまででいいから……」


 二十六歳で気弱の店長は、泣き出しそうな顔になっている。


「……分かりました。少しでいいなら入ります」

 なるちゃんはため息をついて言った。


 これは、俺も残らないといけなさそうだな……


「じゃあ、俺も入ります」


 本当は早く帰りたい。早くナツに会いたい。


 でも、今の店の状態だと本当に人手が足りなくなるのは、俺にだって分かる。分かった上で、しかも女の子のなるちゃんが残るっていうのに、俺だけ帰るっていうことはできなかった。


「あ、ありがとう! 鳴海さん! 沖田君!」

 店長はわざわざ頭を下げてお礼を言ってくる。


「いいですよ。あ、でも、ちょっと連絡だけしていいですか? 人と待ち合わせがあるんで」

 なるちゃんがそう言ってポケットから携帯を取り出す。


「うん! それぐらい構わないよ!」

 店長が大きく頷いた。


 そうだ。俺もナツに連絡しておかないと。


「あの、俺も」


「すみませーん。会計お願いします」

 レジの方から客の呼ぶ声が聞こえた。


「あ、はい!」

 俺は急いでそっちの方に向かった。


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