美加、時空を越えて
美加の良さは、ぱっと花が咲いたように明るくなる笑顔と雰囲気だ。
『美加さん』と声をかけられて、笑顔でおはようと子供達に気配りをして挨拶をする。
美加は、愛する人を失った悲しみがあった分、他人の痛みが分かる人間へと成長し、より優しくなった。
深い思いやりは、言葉の端はしに感じられた。
子供であっても敬意を払い、暖かなまなざしで接してくる美加の存在は大きかった。
敏感な子供達はより理解され、愛してくれる人に親しみを感じる。
彼女と話をしたくてたまらない子供達。
それは光にとっても尚更だった。
どこか気になる存在。
はかなさと危うさをもった存在。
医師としての立場をわきまえている光は、適度な距離で美加を見てきた。
大事な患者として。
美加の心の病を直す事が出来るのは、僕だけだ、と。
光は自分の恋心にブレ-キを掛けていた。
この2011年の世界に来るまでは。

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